中国に長く住んでいると、よく聞くのが

「今の中国って、昔の日本のバブル崩壊前後に似ていない?」という声です。

私自身、現地で不動産の空気感、節約志向の強まり、消費の弱さを見ていると、

この見方はかなり的を射ていると感じます。

もちろん、日本と中国は政治体制も金融システムも違うので、

まったく同じ展開になるとは限りません。

ただ、日本のバブル経済がどう始まり、どう崩れ、

なぜ長期低迷につながったのかを時系列で確認すると、

今の中国をかなり冷静に見ることができます。

中国の足元では、2026年1〜3月の実質GDP成長率は前年比5.0%でしたが、

同時に小売売上や不動産投資は弱く、住宅価格の下落も続いています。

数字だけ見ると成長していても、中身には温度差がある状態です。

この記事では、日本のバブル経済を時系列で整理しながら、

現在の中国がどこまで似ているのかを〇×で評価し、

さらに中国在住者が資産と収入の面でどう動くべきかを、

現地目線でわかりやすくまとめます。

日本のバブル経済を時系列で振り返る

1985年:プラザ合意で急激な円高

1985年のプラザ合意をきっかけに、円は急速に上昇しました。

輸出に強く依存していた日本企業にとって、これはかなり大きな打撃でした。

日本銀行の研究でも、1985年9月のプラザ合意後の急速な円高に対応するため、

金融緩和が進んだことがバブル形成の大きな背景として説明されています。

1986〜1987年:金融緩和でお金が一気にあふれる

景気を下支えするため、日本銀行は公定歩合を1986年から1987年にかけて

合計2.5%引き下げ、2.5%という低水準を約2年超続けました。

これにより市場にはお金があふれ、株や土地に資金が流れ込みやすくなりました。

1987〜1989年:株価と地価が急騰

低金利と「土地は下がらない」という期待が重なり、

株価と地価が大きく上昇しました。

BISや日本銀行の研究でも、1980年代後半の日本では資産価格の大きな上昇と

銀行融資の拡大が同時進行していたと整理されています。

1989〜1990年:金融引き締め開始

バブルが加熱しすぎたため、日銀は1989年から利上げに転じました。

これが引き金となり、株価と地価は下落局面に入っていきます。

ESRIの資料でも、1989年以降の利上げがバブル崩壊のきっかけになったと説明されています。

1990年代:不良債権問題が長引く

問題は、バブルが崩壊したあとでした。

地価と株価の下落で、銀行が抱える貸出の中に返済困難なものが増えました。

日本の内閣府資料でも、不動産・建設・卸小売などが資産価格下落の直撃を受け、

不良債権が長く増え続けたことが示されています。

さらに処理が遅れたことで、日本経済は長期停滞に入っていきました。

現在の中国は日本のバブル崩壊と似ているのか【〇×評価】

ここからが本題です。

今の中国が、日本のバブル崩壊のどの段階に近いのかを、できるだけ整理して見てみます。

円高ショックのような外部ショック:×

日本ではプラザ合意後の急激な円高が大きな出発点でした。

一方、中国は人民元を比較的強く管理しており、日本当時のような

急激な通貨高ショックがそのまま起きているわけではありません。

ここは明確に違います。

金融緩和と信用拡大:〇

中国では長年、不動産とインフラを通じて大規模な信用拡大が行われてきました。

地方政府融資平台(LGFV)を含む債務問題について、

IMFも持続不可能な債務の再編が必要だと指摘しています。

これは、日本のバブル期にお金が広く流れ込んだ構図とかなり重なります。

不動産バブルの形成:〇

中国では「不動産は安全資産」という考えが長く強く、

家計資産も不動産に偏りやすい状況が続きました。

ところが現在は新築住宅価格の下落が続き、

Reutersによると2026年3月も前月比で0.2%下落しています。

これはバブルの調整局面に入っていると見るのが自然です。

規制強化で調整が始まる:〇

中国政府は不動産企業の過剰債務を抑えるため、

いわゆる「三条紅線」などの規制を打ち出しました。

これは日本でいう総量規制や金融引き締めと似た役割を果たしました。

結果として、不動産市場の冷え込みはよりはっきりしました。

不良債権問題の顕在化:△

ここが日本との大きな違いです。

中国では銀行や地方政府、国有企業への統制力が強く、

不良債権を一気に表面化させず、借り換えや支援で時間を稼ぎやすい構造があります。

IMFもLGFV債務の再編や金融面の波及に注意を促しており、

問題はあるが、見え方が日本より鈍いという印象です。

以上をまとめると、現在の中国は「日本のバブル崩壊の初期〜中期」にはかなり近い、

というのが私の結論です。

日本のバブル崩壊と中国の決定的な違い

中国は国家コントロールが強い

日本は市場メカニズムの中で不良債権処理の遅れが表面化しましたが、

中国は銀行、地方政府、国有企業への関与が強く、

問題を急に噴き出させない力があります。

だから中国は日本より安全、という意味ではありません。

むしろ、急落しにくい代わりに、ゆっくり長く重くなる可能性があります。

内需刺激策は短期的には効いても長期では弱い

今回の全人代でも、内需拡大や消費刺激の方向は打ち出されています。

ただ、2026年4月時点でも中国のLPRは11か月連続で据え置き見通しで、

当局は大規模な全面緩和よりも構造的な政策を重視しています。

一方で小売売上の伸びは弱く、内需の勢いはまだ力強いとは言えません。

つまり、短期的な下支えにはなっても、

長期的に経済全体を再加速させる力はまだ限定的に見えます。

中国の低迷は日本の30年より長くなるのか

私は、その可能性は十分あると思っています。

理由は単純で、メンツや安定維持を重視して不良債権問題を本格的に表面化させないなら、

痛みは先送りされ、その代わり停滞は長引きやすいからです。

日本も不良債権処理の遅れで長い低迷に入りましたが、

中国はそれをさらに「見えにくい形」で延ばせる体制があります。

実際に不動産市場の調整はなお続いており、

住宅価格は下落基調、不動産投資も弱いままです。

つまり中国は、日本のように一気に崩れるより、

より長く、より緩やかに下る可能性が高い。

現地で暮らしていると、この「急には壊れないけれど、何となく前より苦しい」が

じわじわ広がっているのを感じます。

これが今の中国経済の一番やっかいなところだと思います。

中国在住者が今やるべき行動【資産・収入の防衛策】

ここはとても大事です。

中国在住者がまず考えるべきなのは、資産を中国に集中させないことです。

資産を中国一本にしない

不動産、人民元建て資産、中国株だけに偏る形は、

今の局面ではかなりリスクが高いです。

中国に住んでいると生活も収入もすでに中国リスクにさらされやすいので、

資産まで同じ場所に固めると、防御力が落ちます。

外貨資産と中国外資産を意識する

円やドルなど、生活圏の外にある通貨や資産を一部持つことは、

非常に現実的な防衛策です。

これは「中国を見限る」という話ではなく、あくまで分散です。

現地在住者ほど、分散のありがたみは大きいと感じます。

収入源も複数持つ

資産だけでなく、収入も一つに依存しないほうが安全です。

本業に加えて、オンライン収入、海外向け収入、ブログや情報発信など、

複数の入口を持つことが大切です。

中国経済がゆっくり低迷する局面では、一発逆転より「生き残る設計」のほうが強いです。

まとめ

日本のバブル経済は、円高、金融緩和、資産価格の急騰、崩壊、不良債権の長期化

という流れで進みました。

現在の中国は、外部環境こそ違うものの、

不動産依存、信用拡大、価格下落、債務問題という点でかなり似た段階にあります。

私は、中国は日本のバブル崩壊の初期〜中期にかなり近いと見ています。

ただし決定的に違うのは、中国には問題を表面化させにくい統制力があることです。

そのため急落は避けやすくても、低迷はむしろ長引くかもしれません。

内需刺激策も短期的な支えにはなっても、長期で見れば効果はまだ限定的です。

だからこそ、中国在住者は感情的に悲観するより、資産を中国に集中させない、

収入源を分散するという現実的な行動が大事になります。

現地にいると、「まだ大丈夫」と「前より確実に重い」が同時に存在しています。

今は、その空気を正しく読む力がいちばん大切な時期かもしれません。

おまけ(日本一時帰国します)

2月の旧正月で日本に帰国したばかりですが、

ゴールデンウィークに絡め、また日本一時帰国します。

今回も妻の”在留カード”更新や家の売却手続きなどなど

やることが多く、また忙しくゆっくりできない日本一時帰国になりそうです。

そんな中、妻子や父との再会を楽しみにしています。

日本ではどんなことが起こるかな~