前代未聞の“反習近平”“反共産党”にまで発展したゼロコロナ政策デモが

2022年11月下旬から、ここ中国で起こっています。

日本でも大々的に報道されていると思いますが、

中国在住20年超えの私が考察を交えてお話ししたいと思います。

天安門事件以来の反習政権デモに至るまでの経緯

今回の“ゼロコロナ政策”に反対するデモは、前代未聞の

1989年の天安門事件の時ですらなかった“共産党及び現国家主席”に対する批判を伴った

デモにまで発展しました。

日本の報道では、単発的な出来事に関する報道が多いと思うので、

まずは、デモに至るまでの経緯をおさらいしたいと思います。

1)人権無視の厳しいゼロコロナ政策

2019年後半に武漢で新型コロナウイルスが発生し、中国政府はまず情報規制をし

新型肺炎の事を隠ぺいしてましたが、感染拡大を受けてから

中国政府は“人権無視の厳しいゼロコロナ政策”を開始しました。

各所のロックダウンや支援物資の支給には地域差がかなりありますが、

ひどいところだと、家のドアを金網で縛ったり、溶接したりで完全に家から出られないように

する場所もあったようです。

2)ゼロコロナ政策により経済が低迷する中、利権を得る人も

この厳しい中国のゼロコロナ政策を継続することにより、経済は大幅に低迷しました。

日本ではまだ給付金が支払われるなどの対応がありますが、ここ中国ではそんなのありません。

“コロナだから店を閉めろ!“と強要され、保証は何もありません。

工場などはコロナで従業員が出勤できなくても従業員に100%給料の支払いを義務図けていたので

小規模(店の経営者)~大規模(工場)まで、大きな損失をこうむり

・企業の倒産激増。 

・失業者の増加。

など、中国経済は大打撃を受けました。

最近の話では中国最大の都市・上海が2か月停止(ロックダウン)だったことも有名です。

中国政府が発表するGDP成長率が〇〇〇 などの統計データは、昔からそうですが、

数値はいつも改ざんされるのでここでは載せませんが、明らかに経済は低迷しております。

しかしそのような中、PCR検査により利権を受ける薬品会社、検査機関や党幹部などがおり、

人々の不満はさらに膨らんでいきました。

3)ルールを破って習近平が3期目続投し独裁色を強める

中国の国家主席は、“最高2期10年“というルールを”鄧小平“が決めてから、

それがずっと守られてきましたが、現国家主席の習近平がルールを変更し、

初めて3期目続投を果たしました。

独裁色を強め、チャイナセブンまで全員自分の息のかかった人選をし、ライバル派閥を排除しました。

(参考記事)

→ 【胡錦涛前主席を退席させ習近平3期体制を構築したその影響とは(メルマガ第525話)】

4)ウルムチ市の火災発生・人民は火あぶりにされた?【デモのきっかけ】

11/24夜 に新疆ウイグル自治区のウルムチ市でマンション火災が起こりました。

ウイグルは普段から特に共産党が厳しく規制するエリアですが、今回のゼロコロナ政策でも

他地域より“より人権を無視したロックダウン処置”を実施しているエリアで、

公の報道では、“マンション火災で逃げ遅れた住民が10人死亡した“と言われておりますが、

実際は、“逃げ遅れた”ではなく、(人権無視のロックダウン※で)“逃げられなかった”。

※ ドアを溶接されたるなど逃げられない状態

さらに死者は10人ではなくもっと多いらしい。(30人という説もあります)

→中国では、死者数など悪い数字は多くの場合、少なく報道されるのが常です。

つまり、習近平の指示で行った非人道的なロックダウンにより“火あぶりの刑”のような

状況で多くの人が死亡しました。

しかしそんなさなか、この問題の張本人の習近平は、“ソロモン諸島で起こった地震災害の慰問電話をした”

という報道がされました。

※ ソロモン諸島:台湾と断交し中国と国交を結ぶようになった、中国としては大切にしたい国

中国人からしてみたら、“自国で(火あぶりの刑で)死者が出ているのに何も言わず、他国の事を心配するとは。。。

お前はどこの国のリーダーなんだ!!“と怒りが爆発したわけです。

5)各大学、各都市でゼロコロナ政策反対デモ勃発

ここまでくればデモが発生してもおかしくないですね。

気が付く人は気づくと思うのですが、やはり昔の天安門事件と同じく

大学生が中心になってデモが発生しています。

天安門事件(1989年)の時は、大学生が北京の天安門に集結してデモを起こしましたが、

今回は、特に大学の多い北京、上海、武漢、成都などの都市で散在してデモが起きてます。

それも、時代の変化が色濃く、デモの呼びかけは、中国政府が規制できないツイッターなどの

外国の媒体を介して呼びかけが行われているそうです。

よって、現在中国政府は、VPNなどのネット規制を通り抜けるものをより一層規制強化しています。

こんな時系列で、今回のデモは起こりました。

※ ネット規制対策は、こちらを参考

(参考記事)

→ 【全国人民大会(全人大)など中国ネット規制強化時に強いかべネコVPN】

現在は情報を規制しきれない時代

中国は情報を規制するためネット検閲を強化しておりますが、私の肌感覚で言うと

今のこの時代、情報を規制するのはかなり困難です。

コロナ初期に私が海外などの情報と中国での状況について中国人の前で話すと、みんな半信半疑でした。

しかし、現在は、ネット規制をすり抜けるVPNなどで海外の情報を得ることはできるし、

ネットを使わなくても、“海外に移住した昔の友達”とかから海外の状況を聞くチャンスも増えています。

私の情報(娘やインドネシアの友達でコロナ感染した人の話など)からもそれらの情報を

聞くことができますが、もう、私からの情報がなくてもそれらの情報を知りえる手段が

中国には多くあります。

特に今は、サッカーのワールドカップがカタールで開催しております。

ワールドカップの観客がみんなマスクを付けずに応援している姿を多くの中国人は知っています。

(後からヤバいと思ったのか、中国の報道でマスク無の観客の映像が出た時、選手の写真とかを

載せて見えないようにするというマヌケなことをやってるようですが、、、もう遅い。 笑)

ここまでネットが発達した時代に情報規制なんてもう無理な部分がありますね。

ある意味、ネット規制を指示する共産党幹部のおじさん?おじいさん?が

時代に付いてこれていないのだと思います。(日本も同じだが。。。)

反習近平政権批判に対する中国政府の対応

反政府運動にまで発展した現在のゼロコロナ政策。

中国政府・習近平政権はどんな対応をするのか??

1989年の時のように人民解放軍を出動して弾圧するということをやれば、

敵が多い現在の中国ならば、完全にロシアのように鎖国状態になってしまうと思います。

かといって、このままデモを続けさせるわけにもいかないので、別の方法で弾圧はすると思いますが、

現在の反応だと、ロックダウンの解除など“ゼロコロナ政策の緩和“に舵を切り出したようです。

しかし、ゼロコロナ政策を緩和することは、習近平のメンツを潰すことになるし、

ゼロコロナ政策で利権を得ていた人たちが損をすることにもなる。

さらにゼロコロナ政策により中国政府の“人民の監視体制強化”にとって逆風になるしで

政策緩和を行いたくないのが本音ですが、“政権批判“をかわすことと

天秤にかけなければならないという難しい状況に迫られてしまった状況だと思います。

もしかしたら、“ベルリンの壁崩壊”のような歴史的瞬間が見れかもしれませんね。

今の中国の現状を表したブラックジョーク

最後に、オマケ的な内容ですが、私の知り合いが教えてくれた今の中国を表したブラックジョークで締めくくりたいと思います。

これです。

【日本語訳】

今日、移民代理店の電話を受け取り、

カナダ、ポルトガル、シンガポールなど移民を手伝ってくれると言ってました。

私は、”まず私をこのマンションの外に移動することができますか?”と聞いたら

3秒たってから電話を切られた。

これ中国人に言うと高確率で笑いますが、ものすごくブラックなジョークです。

現在、中国共産党のやり方に絶望し特に国外へ移民を希望する人が中国では増えています。

あの、アリババグループのジャック・マーさんは今日本にいるみたいですよ。

よって、移民を斡旋する業者は大きなビジネスチャンスが来ていると言えます。

しかし、中国の一般庶民からしてみたら、

”中国国外に脱出する前に、このロックダウンから脱出させてくれ!”

というのが本音なのでしょうね。

しかも、移民斡旋業者は、移民(中国国外に脱出させる)はできても

ロックダウン(マンションの外に脱出させる)から脱出させることはできないという皮肉。。。

このブラックジョーク。。。 なかなか本質をついていますが、中国人は

このジョークを聞いてどんな気持ちで笑っているのでしょうね?

今回は、反習近平政権批判にまで発展したゼロコロナ政策デモに関するお話でしたとさ

おまけ(江沢民前国家主席死去)

11/30に江沢民前国家主席が死去しました。

この人が昔、共産党政権批判の矛先を変えるために“反日教育”を徹底した張本人でした。

日本人からしてみればムカつく存在ですが、いやいや、今の習近平さんに比べればまだまだまともな人だっと思います。

中国のいろんなアプリが現在白黒になっていますが、これは彼の死を悼んで行っているそうです。

ご冥福をお祈りいたします。